3 裏の顔(1)

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 私が笑うとレジェス様も笑った。 「……レジェス様。あの花をとってくださいませんか?」 「うん? いいぞ」  セレステがレジェスに頼んだのは、木に咲く白い花だった。 「レジェスに届くかな」 「フリアンも届かないだろ?」  二人の視線は花へ向けられる。  私も花を見上げようとして、セレステと目があった。  セレステが私ににっこり微笑み、私も微笑み返す。  私がセレステとずっと仲良しなら、みんなから嫌われたりしないし、平和に暮らせる。  ――なーんだ、簡単!    そう思っていた。  この瞬間までは。  セレステの手が伸び、私の肩を強く押した。 「え?」  突き飛ばされた私は、水路のほうへ体が傾き、足が宙に浮く。  自分の背に水の感触を感じたかと思ったら、冷たい水の中に落ちたのがわかった――違う、落とされた。  ほんの一瞬ことだった。  ――今、なにが起きたの?  誰かに気づいてもらおうとして、水面より上に顔をあげる。  けれど、水を飲んでしまい、声がでない。  手足をバタつかせても、ドレスが水を吸って体にはりつき、重くて動けなかった。  帽子が顔を覆い、呼吸できず、水の中へ体が沈んでいく。  ――私、ここで死んじゃうの!?
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