1364人が本棚に入れています
本棚に追加
――新たなオルテンシア国王が王家以外から選ばれる。
それを知っているのは、国王陛下と自分、ルナリア様とフリアン様だけである。
新たな王は、王家に次ぐ地位である公爵家の子息フリアン様に決まった。
ルナリア様がアギラカリサ王国へ行くまでの間、補佐としてそばにいたのは、護衛の意味もあるが、学ぶためでもあった。
今日、ルナリア様がアギラカリサへ行くことが決定し、貴族たちにも知らされたが、誰からも異論はなかったのは、フリアン様が持つ穏やかな空気と幼い頃からの真面目さゆえだろう。
幼い頃から、公爵家の一人息子としてプレッシャーを与えられてきたはずだが、期待を裏切らないだけの能力を持っていた。
持っているが……
「フリアン様」
「ああ……。シモンか。ごめん。少しぼんやりしていた。ルナリアを見送りに行かないとね」
ルナリア様がレジェス殿下とともに行くことがわかり、恋に破れたフリアン様は、恋にトドメを刺されて落ち込んでいる。
けっこう前に、ルナリア様にプロポーズしたとティアが言っていたのを思い出す。
そろそろ立ち直ってもらえたらと思うのだが、まだギクシャクしているのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!