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しかたがない。
ルナリア様はレジェス殿下に奪われたようなものだ。
レジェス殿下がいなかったら、ルナリア様の結婚相手はフリアン様のはずだったのだから。
「運命を変えるくらいの大きな力でしたね」
「運命を変える?」
「ルナリア様です。元々はワガママで無力な子供でした。そして、平凡だと思っていた」
「……シモン。その正直に言いすぎるところは気をつけたほうがいいよ」
「失礼しました」
だが、フリアン様も否定しなかった。
昔はそう思っていたと肯定しているようなものである。
妹のノエリアが王宮へ呼ばれた時、ルナリア様はいなかった。
友達を作ることさえ、セレステ様に妨害されていたのを気づかず、侍女たちにワガママ放題で王宮の奥で暮らしていた普通すぎる子供。
それが、第二王女ルナリア様のイメージだった。
――王家を滅ぼしてやる。女王にさせるものか。
王家への憎しみを糧にして生きてきた。
フリアン様が王になり、目的は果たされた。
果たされたというのに、達成感はなかった。
フリアン様に不満があるわけではない。
きっととても良い王になるだろう。
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