1 『二番目の姫』

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 ――私、転生しちゃったみたい。  なんと!  小説の中のヒロインに!  でも、全然嬉しくない。  なぜなら、両親に冷たくされ、周囲は姉を褒め称える姉妹格差バリバリの虐げものだからだ。  その虐げヒロインに私は転生してしまった。  小説のタイトルは『二番目の姫』――タイトル通りヒロインは二番目に生まれた姫である。  一番目の姫、セレステは光の巫女。  二番目の姫、ルナリアは闇の巫女。  私が転生したのは二番目の姫ルナリア。  ルナリアがヒロインのお話なんだけど、ヒロインがハッピーエンドにならない可哀想なお話である。  生まれた時から、常に姉のセレステが優先され、冷遇されるルナリアは姉に嫉妬する。  ルナリアの婚約者はセレステを好きになってしまい、『君のことは二番目に愛してるよ』なんて言われる。  仕返しにセレステの婚約者を奪おうとするも失敗し、暗殺の疑いをかけられ牢屋へ放り込まれるのだ。 「不幸すぎる……」  でも、不幸はさらに続く。  周囲から嘲笑される日々――暗い牢屋の中で、ルナリアはますますセレステへの恨みを募らせていく。
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