4 裏の顔(2)

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「ルナリア、落ち着け!」  パニック状態だった私を水の中から引きあげ、体をつかんだのはレジェスだった。 「足がつく」  ――あれ?  冷静になると、なんてことはない。  水の勢いはそこそこあるものの、水路は浅く、簡単に足がつく。  レジェスは大人しくなった私を抱え、水路の外へ出ると、背中を叩いて水を吐き出させた。   「げほっ……けほっ!」 「ルナリア、大丈夫か?」  レジェスの黒髪から水がしたたり、立派な服も濡れていた。  大国アギラカリサの王子を水路に飛び込ませ、ずぶ濡れにしてしまった。 「ご、ごめんなさい……」  謝る私にレジェスが濡れた髪をかき上げ、険しい顔を見せた。  ――どうしよう。すごく怒ってる。  「ルナリア、悪かった。俺とフリアンがちゃんと見ていなかったせいだ。今、フリアンが乳母と侍女を呼びに行った。寒いだろうが、少し我慢してくれ」  レジェスが怒っているのは、自分自身に対して怒っているらしい。  私の服と自分の服の水を絞り、私の髪をなでた。  そして、気づく―― 「あ、ルナリアの花……」 「流されてしまったな」
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