4 裏の顔(2)

4/7
前へ
/314ページ
次へ
 水路の泥と水で汚れ、みすぼらしい姿になった私と違って、セレステは綺麗なまま―― 「な、なんで……? セレステお姉様が、私を水路に落として……」  寒さと恐怖で震えながら言った私の言葉は、すぐに否定された。 「なにを言ってるの。セレステがそんなことするわけないでしょう!」  私が水路に落ちたと知ったお母様が駆けつけ、大きな声で私を叱った。 「ルナリア。また悪さをした言い訳にセレステを使うの? あなたって子は本当に嘘つきで悪い子ね!」  ――嘘つき?  そういえば、今まで何度も怒られていた気がする。  食べてないお菓子を食べたと言われ、盗んでない人形を盗んだと言われた。  勘違いだろうと思って、気にしていなかったけど、あれはもしかして――セレステが? 「ルナリア。私のせいにして、お勉強を怠けて遊んでいた言い訳をしてはいけないわ」 「怠けてない! 庭へ行こうって言うから……」 「嘘は駄目よ。第一、私の手がパラソルで塞がっているのに、どうやってルナリアを落とせるの?」    悲しい顔でセレステは私を見つめる。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1049人が本棚に入れています
本棚に追加