4 裏の顔(2)

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 ――これが『二番目の姫』の世界。  この先、ずっと続くのかと思うと絶望しかない。  そう思っていると―― 「俺はいいから、先にルナリアをどうにかしてやってくれ。水路に落ちたのは俺のせいだ」  レジェスが自分に与えられたタオルを私の頭にかぶせた。 「うん。レジェスは強いけど、ルナリアはまだ五歳だからね。このままだと風邪をひいちゃうよ」  私の乳母と侍女を連れて戻ってきたフリアンが、優しい笑みを浮かべていた。  二人の優しさに涙がこぼれた。 「ルナリア。ちゃんと手を繋いで歩いてあげればよかったよ。ごめんね」 「う、ううん。ルナリアのせい……」  これ以上、叱られないためにセレステのことは口に出せなかった。  ぶるぶる震えている私を見て、乳母は申し訳なさそうに頭を下げた。   「やっぱりご一緒するべきでした」  乳母は私に対して優しい。 「乳母が甘やかすからよ! レジェス様に謝りなさい!」  けれど、お母さまたちは違った。 「いいから、早く着替えさせろ。ルナリアが震えている」 「レジェス様も着替えなくては!」 「俺は後でいい。先にルナリアを着替えさせろ」
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