1 『二番目の姫』

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 そして、とうとうルナリアは感情を爆発させ、闇の力が目覚めて暴走。  闇の中にセレステを閉じ込めてしまう。  しかし、セレステは光の力によって、ルナリアの闇を打ち消し、『お姉様……。闇から私を救ってくれてありがとう』ガクッ……で終わるお話だ。   闇から救われる姫っていうオチにしたかったんだろうけど、あんまりひどいストーリーだったから、しっかり覚えてる。  はっきり言って、まったく救われてないし…… 『セレステは本物の光の巫女。嫉妬という心の闇さえも打ち消したのだ』  ――なーんて小説の中では書いてあるけど、本当の闇は、いつだって二番目にされてしまうルナリアですから!  そして、現在の私は五歳。  この記憶を思い出したのは、自分で本を読もうと、よくある童話を手に取り、ページを開いた時のこと。  雷に打たれたかのように、転生前の記憶を思い出したのだ。 「う、うわぁーんっ!」  気づけば、王子と王女の幸せハッピーエンドな童話を見ながら泣いていた。    ――どうせ転生するなら、イケメン王子とラブラブハッピーエンドになるこっちの童話がよかったよー! こんな転生、あんまりだー!
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