5 裏の顔(3)

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「レジェス様はとても心配されてましたよ。後からお礼の手紙を書かれてはどうですか?」 「うん。ルナリア、レジェス様にお礼の手紙書くね!」    緑の液体を受けとり、作り笑いを浮かべた。  ――ううっ。見るからに毒々しいわ。  この薬は最悪だった。  体がよくなるどころか、不味すぎて舌がしびれ、吐き気をもよおして吐き出してしまった。  だから、みんながいなくなった後、こっそり庭園に出て草木の肥料にしていた。  ――元は草なんだから、土に還しても問題ないわよね。 「以前なら、ルナリア様は薬を飲むのを嫌がって、大暴れしていたのに大人になりましたね」 「でも、少し痩せた気が……」  侍女たちが心配そうな顔をしていた。  高熱を出したからか、食欲のほうはなかなか戻らないし、五歳だけあって体力もまだだ。 「体調が良くなる前に、遅くまで本を読んでいらっしゃるから、なかなか治らないんですよ」   乳母が渋い顔をして、読み終わった本を片付け、侍女は新しい本を持ってくる。    ――わかってるけど、少しの時間も惜しいのよ。
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