5 裏の顔(3)

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「そんな! 乳母も侍女たちも悪くないわ!」 「わかってるよ」  ――悪いのは私。あの時、セレステと一緒に庭園に行かなければ、こんなことにはならなかった。  頭の中がぐるぐるした。  小説『二番目の姫』には、表に書かれてない裏の設定があるのかもしれない。  すべてに書いていないから、私が予測できないことが起きる。  私が知らない裏の設定とは、いったいなんなのだろう。  設定では優しい姫であるセレステ。  そのセレステが、ルナリアを殺したいほど敵視しているとは気づかなかった。 「どうしたらいいの……?」  「ルナリア、ごめん。僕の力ではなにもしてあげられない。国王陛下と王妃様にお願いするしかないけど、とてもお怒りだったから、セレステ様でない限り、無理だと思う」  ――セレステがお願いすれば、両親は叶えてくれることも、どうして私では駄目なの?  無力な自分に涙がこぼれた。
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