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「ルナリア様。泣かないでください。解雇になってもしかたのないことなんですよ」
乳母が優しい口調で私に語りかけ、エプロンで涙をぬぐってくれた。
「あの時、お勉強の時間だったのに、止めなかった私たちが悪かったんです」
「ルナリア様が水路に落ちたと聞いて、とても後悔しました」
ずっとお世話をしてきてくれた乳母と侍女たちが、私のそばからいなくなる――心細いし、寂しかった。
両親が気にかけてくれず、いつも一緒にいてくれたのは乳母と侍女だ。
――お父様たちにお願いして駄目だったとしても、なにもやらないよりいいわ!
「ルナリア、お父様にお願いしてくる! だから、待ってて!」
「まあ! いけません。今日はレジェス様がアギラカリサにお帰りの日ですし、お邪魔になりますよ!」
「叱られるよ。ここにいたほうがいい」
フリアンが私を止めようとしたけど、するりとかわして、伸ばした手からすり抜けた。
部屋を飛び出し、お父様とお母様を探す。
うろうろしている私に気づいた兵士が驚き、声をかけてきた。
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