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「ルナリア様。寝間着姿でどうなさいましたか!?」
「えっと、お父様とお母様はどこ?」
「レジェス様がアギラカリサ王国へ戻る日ですので、お見送りするため、王宮前にいると思いますが……」
「ありがと!」
兵士が止めた気がしたけれど、王宮の前へ向かって走っていた。
五歳の子供に王宮は広かった。
しかも、病み上がりで完全に治っていない。
ふらふらになりながら、王宮前にたどり着くと、そこには正装したレジェスが、滞在のお礼を述べているところだった。
「オルテンシア王国のもてなしに感謝する」
「レジェス様がいなくなると、とても寂しいです」
セレステがレジェスの手を握り、お父様は獲物を仕留めたとばかりに微笑んだ。
「レジェス殿下。できれば、いずれセレステの婿として……」
「お父様! お母様!」
会話が終わるのを待てずに遮ってしまった。
お父様とセレステが、私の姿を見て嫌そうな顔をした。
そして、お母様の怖い顔で、ようやく自分が寝間着姿だということに気づいた。
――叱られる!
しまったと思ったけど、もう遅い。
「あなたという子はっ……!」
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