1 『二番目の姫』

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 ルナリア(私)には悪いけど、人生イージーモードを望んでしまうのは許してほしい。  たしかに親は私を放置気味だったとは思うけど、三食昼寝付き。  だらだらした王女生活を楽しんでいた私。(まあ、五歳だしね)  でも、未来に待つのが嫌われ王女で、闇の力を暴走させて……死。  死である!  恐怖で体が震えた。 「ルナリア様? どうなさいましたか?」  乳母は心配したけど、たった今、前世を思い出して、ここが小説『二番目の姫』の世界なんですとは言えなかった。  言ったところで誰が信じる?  信じてもらえないどころか、医師を呼ばれるか、『闇の巫女だと? 死ね! ザクッ!』で死亡エンドを早めるだけである。  ――前世ゲーマーとしては、この物語にマルチエンディングが存在し、複数のハッピーエンドルートがあると信じたい(バッドエンドもあるってことになるけど……)。  なお、私の前世は普通の会社員二十六歳女性。  ただし、それは表の顔で裏の顔はゲーマー。  亡くなった経緯は覚えてないけど、健康そのもので病気ではなかったみたいだから、突然ポックリ逝ったんじゃないだろうか。  それとも、廃人プレイからの過労死とか……あり得る。
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