6 裏の顔(4)

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「うん。ありがとう、レジェス様!」  レジェスはぽんっと私の頭を叩いた。  その瞬間、なにか予感がした。  ――なんだろう、この気持ち。  アギラカリサ王国の末の王子レジェス。  上には年の離れた王子が三人もいて、レジェスが王になる可能性が低いと言われている。  でも、私はレジェスに王の資質があると思った。  突然訪れた直感。  根拠はなにもないけれど、急にレジェスが特別な存在に見えた。 「ん?」 「えっと……。ルナリアもいつかアギラカリサ王国へ行ってみたいな!」  一瞬だったけれど、レジェスの顔が険しくなった気がした。 「ああ。遊びに来い! そうだな……。それまでにはマシにしておく」  ――マシに? いったいなにをマシにするの?  レジェスの言葉がひっかかったけど、すぐにいつもの明るい表情に戻った。 「じゃあな、ルナリア」  レジェスは馬の手綱を手にする。  正装し、従者に囲まれたレジェスは大国の王子という雰囲気があった。  明るいアギラカリサ王国の末の王子のレジェス。  太陽みたいなレジェスをセレステが好きになるのも無理はない  隊列が見えなくなるまで見送った。  隊列の最後尾が見えなくなったら、お父様とお母様は政治の話をしながら、中へ入っていく。
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