6 裏の顔(4)

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 セレステは両親がいなくなるのを待ち、私とセレステの二人になると、私と向き合った。  ――やっぱり笑顔。    それもとびきりの天使みたいに可愛い笑顔だった。  でも、中身は天使じゃない。 「水路に落ちて、高熱を出したのに平気なんて、本当にルナリアは強い子ね」  その笑顔が怖いと思う一方で、セレステから逃げてはいけないと思った。  セレステと向き合い、立ち向かわなくては、私は二番目のまま。 「うん。ルナリアは強いよ?」  にこっと笑うと、わずかにセレステがひるんだ。 「だから、今度は落ちないように気をつけるね!」  やられるだけの妹ではないと、セレステに教えた。  今までみたいに、うまく騙せると思ったら大間違い。  私はこの先、不幸な結末迎えないためにも、今から少しずつ私のできることを増やしていく。  たとえ、両親が私を一番だと思わなくても、私のそばには、乳母や侍女がいる。  そして、レジェスが力になってくれると言った。  今はそれでじゅうぶんだ。  ――小説『二番目の姫』は始まったばかりなのだから。
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