7 知らない登場人物

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「まあ! ルナリア様。この本もこちらの本も、もう読んでしまわれたのですか?」 「うん。読み終わったよ!」  農業、経済、言語――今、私はあらゆる分野の知識を頭に叩き込んでいるところだ。 「少しはお休みになられませんと、やっとお薬を飲まなくてよくなったのに……」  ――薬、薬ねぇ……。あんまり不味いから、薬というより毒かと思ったわ。  子供だから不味いというより、あれって完全に毒だと思うのよね。  舌が痺れて危険な気がしたから、こっそり庭の一角に捨てていたのは秘密である。  私が元気になったから、もう薬は必要なくなった。  不味い薬を庭に捨てる作業から、ようやく解放されたのは嬉しい。  乳母と侍女たちは解雇されずに済み、いつもの顔ぶれが、私のお世話をしてくれる。  これで安心と言いたいところだけど、気になったのは枯れた草木である。  ――私が捨てていた薬の場所。あそこだけ草木が枯れたわ。  どう考えても怪しい……  毒だと判断するには早いけど、安全なものという認識もどうかと思う。  私が最初に読破したのは、身を守るために毒と薬草の本だった。
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