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ティアは優しいし、しっかりしていて落ち着いている。
「ティア? 私の質問の紙を読んでくれた?」
「読みましたけれど……その……」
私が書いた質問の紙を眺めて、ティアは頬をひきつらせた。
難易度の高い質問を用意し、家庭教師をつけてもらおうという私の作戦である。
ティアは私の作戦をわかっているから、ため息をついた。
「わかりました。ルナリア様が賢く成長されるのは、乳母としても喜ばしいかぎりです。ルナリア様に家庭教師をつけましょう」
――やったわ! やっと家庭教師をゲットできた!
私の実際の年齢は二十六歳。
成長というより、前世の知識とここでの知識の両方を持っている。
前世分の知識量を考えたら、ティアよりも私の方が上なのは仕方がないことだった。
「実はもうすでに、ルナリア様の家庭教師をお願いして、雇ってあるんですよ」
「ほんとう!? あっ! でも、ティアは今までどおり、ルナリアの乳母でいてほしいの!」
「はいはい。甘えん坊ですね」
ティアの手が私の頭をなで、それを見ていた侍女たちは笑っていた。
今はまだ平穏そのもの。
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