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――両親がセレステばかり構っていても、私にはティアや侍女たちがいるから、まだ救われているわ。
最近の私は勉強している時間が多く、すっかり手がかからない子供になっていた。
侍女たちも私に好意的になり、仕事に余裕ができたからか、細かいところまで気を配ってくれる。
今日の髪にはリボンを編み込み、ドレスも季節に会わせた緑とピンクの春らしいものだった。
「ねえ、ティア。先生はどんな人?」
「先生ですか? 先生は……」
ティアが説明しようとした時、部屋の扉がノックされ、侍女が扉を開いた。
「新しくこちらに配属される家庭教師ですが、ルナリア様にご挨拶したいそうです」
「ほんとう!? 私の先生がきたの? ぜひ、入ってもらって!」
どんな先生なのか、とても興味がある。
「ルナリア王女殿下は、とてもお元気な方でいらっしゃいますね」
――うわ、美人。
入ってきたのは、男の人だったけど、女性と間違えそうなくらい綺麗な顔をしている。
着ているものは、文官用の地味な色の上着で、アクセサリー類も見つけていないから、侍従より地味かもしれない。
でも、服装が地味でも気にならなかった。
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