1 『二番目の姫』

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 ――ごちゃごちゃ考えてる場合じゃない! 転生してしまった以上、前職より今の職(姫)よ!   今回は楽にポックリなんて逝かせてくれそうにない。  だって、『二番目の姫』のラストは力が暴走して、セレステによって殺され……いやいや、力を打ち消されて死ぬ運命。  嫉妬が死を招くとわかったら、つい言い直してしまう私。 「泣いたり、考え込んだり、忙しいですね」 「セレステ様はいつも穏やかに微笑んでいるっていうのに、ルナリア様は感情の起伏が激しいわ」  さすが一番ポジションのセレステ。  幼い頃から周囲を困らせず、高評価のようだ。  乳母や侍女たちは目に見えて、『セレステ様がよかったわ。どうして、ルナリア様担当に配属されちゃったのかしら?』なんて顔をしている。  ――や、やばい。好感度をあげなきゃ!  ゲーマーの血が騒ぎだす。  封印していた力(ゲーマー)を解放する。 「あ、あのね、ルナリア、大丈夫なの。本を読んでて、悲しくなっただけ」  今となっては中身二十六歳の寒々しい五歳児プレイ。
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