7 知らない登場人物

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 長い銀髪と青い瞳が宝石みたいだし、これだけイケメンだと歩いているだけで目立つ。  侍女たちもうっとりとした顔で彼を眺めていた。 「ベルグラーノ伯爵家の三男、シモンと申します。ルナリア様の家庭教師に任ぜられました」  私が予想していた家庭教師は、白ひげのおじいさんのイメージだったけど、シモン先生はとても若かった。 「ルナリア様。シモン様は王宮でも三本の指に入る美男子ですよ」    侍女が興奮気味に説明してくれたけど、大事なのは知識量である。 「先生なら美男子じゃなくても……」 「ルナリア様。なに言ってるんですか!」 「すっごく大事です!」  侍女たちから、『そんなことありませんよ』と無言の圧を感じた。  そして、この職場は『大当たり』だという顔をして、きゃあきゃあ騒いでいる。  ――そうよね。侍女たちは結婚適齢期だし、うまくいけば見初められて結婚の可能性もあるもの。  だから、出会いには真剣で全力投球である。  異世界といえど、そのあたりの願望は変わらないようだ。 「シモン様は十八歳にして、王宮の図書館の館長を任されるくらい博識で優秀なんですよ」
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