7 知らない登場人物

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「王宮で働く独身女性のみならず、通りすがりの女性のハートまで奪うという女殺し!」 「身分は伯爵家の三男!」 「仕事は王宮勤め! 結婚後も安定感抜群ですよ」  ――気のせいじゃなかったら、ここが婚活会場に見えてきたわ。  ベルグラーノ伯爵家のシモン――私が初めて聞く名前だ。  小説『二番目の姫』の作中に登場していない人物で、どんな人間かわからない。  そもそも、ルナリアには家庭教師がいなかった。  シモンが登場したのは、私が物語と別の行動をとったからかもしれない。  本来なら、ルナリアは勉強嫌いでお菓子が大好きな普通の五歳として育つ。  私がとった行動によって、必要な登場人物が増えたってことなのかも……  そう思うと、私の行動によって、人との出会いは増やせるようだ。   「シモン先生。これから、よろしくお願いします」  スカートをつまんでお辞儀をする。  淑女らしい挨拶をした私に、シモン先生は微笑んだ。 「ルナリア様の力になれて嬉しく思います」  私と同じ銀髪に青い目――それに、穏やかで優しそうだし、シモン先生と仲良くなれそう。
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