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「マーレア諸島連合国はひとつになれば、強いですが……」
シモン先生は延べ棒をバラッと地図の上に崩した。
「彼らはひとつになれない。言葉も文化もそれぞれに違うため、まとまりにくいのです」
「でも、国と名乗ってます」
「それはここに大国アギラカリサがいるからですよ。アギラカリサ王国がなければ、彼らが協力する必要はないのです」
シモン先生は王冠をつついた。
マーレア諸島の隣国はアギラカリサ王国。
その脅威に対抗するため、島々の首長は手を組んだということらしい。
「シモン様。ルナリア様はいかがでしょう?」
ティアが尋ねると、シモン先生は穏やかな笑みを浮かべうなずいた。
「申し分ない生徒です。五歳でここまで世界を正しく理解し、国々に興味を持っているのは珍しい」
「まあ! 褒められましたよ。ルナリア様!」
ティアは自分のことのように喜んだ。
「ルナリア様。オルテンシア王国に杖を置いたのはなぜでしょうか」
「えっと、光の巫女がいるから……です」
「そうですね。光の巫女は光を生み出せる特別な存在です。ですから、他国はオルテンシア王国には攻め込みにくい」
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