8 私(五歳)の婚約者候補

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 わざとらしかったかなと思いながら、暗い顔をごまかすために、はしゃいでみせた。 「じゃあ、今日は馬に乗ってみようか。危ないから、僕と一緒にね」 「ルナリア、剣とか弓も使えるようになりたい!」  それを覚えておけば、身を守れるかもしれないからだ。  フリアンはそんな目論見が、私にあるとは知らず、ただの好奇心だと思っているようで笑っていた。 「そうだね。ルナリアはまだ小さいし、少しずつ覚えていこう。まずは、馬に慣れるところからだよ」  フリアンの馬が庭につないである。  ――うわっ! 王子様設定だけあって、馬は白!  すごく白馬が似合う。 「ほら、ルナリア。僕の馬に乗ろうか」  これは憧れの二人乗り!  イケメンすぎるフリアンと二人で馬に乗ったら、ルナリアがイチコロなのもわかる。  セレステに嫉妬もするわよ。  白い馬に乗ったフリアンはまさに物語に出てくるような理想の王子様である。   バックに薔薇の花の幻影が見えそうだ。 「おいで。ルナリア」 「う、うん」  ティアや侍女たちの手を借りて、フリアンの馬に乗せてもらう。    ――あっ……、思ってたのと違う。   
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