8 私(五歳)の婚約者候補

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 ちょこーんと前に座った私は幼稚園児さながら。  抱っこされた子供である。  絵面が悲しいことになっている。 「まあ! お二人ともとてもお似合いですよ!」 「まるで恋人みたい!」  ――恋人? どう贔屓目(ひいきめ)に見ても子守をしてくれているお兄ちゃんよ!  ティアたちは気を遣って、私の気持ちを盛り上げようとしているのがわかる。 「フリアン様とルナリア様の将来が楽しみですね」 「きっと美男美女になるわ」  私とフリアンを恋人同士にしたいのか、外野の応援がすごい。  これは物語の上ではルナリアの初恋相手との結婚かもしれないけど、冷静な目で見ると、王家と公爵家の政略結婚である。  冷めた目でティアたちを眺める。  あの様子からいって、婚約の話は内々に出ているのだろう。 『ルナリアとフリアンを結婚させたらどうかね?』  まあ、お父様はこれくらいの軽さで言ったに違いないけど、ティアたちは私が嫌がらないように洗脳していく作戦だ。  ――フリアンと婚約なんて、ぜっーたいダメ!  このままじゃ、フリアンと婚約からの婚約破棄コース確定、闇の力が暴走のホームラン。
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