1111人が本棚に入れています
本棚に追加
それだけはなんとしてでも避けたい。
そんなことをグルグル考えていると、フリアンが申し訳なさそうな顔で私に謝った。
「ルナリア、ごめんね」
「え?」
フリアンは馬をゆっくりとした足取りで歩かせる。
なぜ謝られたかわからず、聞き返してしまった。
「君はまだ五歳なのに、僕の父上が婚約を申し込んだんだ」
――ひっ、ひえっ! やっぱりぃ~! でも、お父様じゃなくてフリアン側からなの~!?
思わず、叫びそうになった。
「る、ルナリア、五歳だよ? 五歳だから、まだ早いよ!」
「わかってるよ。でも、ルナリアも知っておいたほうがいいって思ったんだ」
フリアンの顔はどこか悲しそうに見えた。
もしかして、すでにセレステにラブだとか……あり得る。
「僕とルナリアだけじゃなく、レジェスもセレステ様も大人に振り回されている。でも、レジェスは冷静だ」
フリアンの浮かない顔から、セレステに片想いしているというより、公爵家の息子として、プレッシャーを感じているのだとわかった。
一人息子で優秀ときたら、親の期待も人一倍……ううん、百倍くらいかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!