8 私(五歳)の婚約者候補

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 それだけはなんとしてでも避けたい。  そんなことをグルグル考えていると、フリアンが申し訳なさそうな顔で私に謝った。   「ルナリア、ごめんね」 「え?」  フリアンは馬をゆっくりとした足取りで歩かせる。  なぜ謝られたかわからず、聞き返してしまった。 「君はまだ五歳なのに、僕の父上が婚約を申し込んだんだ」  ――ひっ、ひえっ! やっぱりぃ~! でも、お父様じゃなくてフリアン側からなの~!?  思わず、叫びそうになった。   「る、ルナリア、五歳だよ? 五歳だから、まだ早いよ!」 「わかってるよ。でも、ルナリアも知っておいたほうがいいって思ったんだ」  フリアンの顔はどこか悲しそうに見えた。  もしかして、すでにセレステにラブだとか……あり得る。   「僕とルナリアだけじゃなく、レジェスもセレステ様も大人に振り回されている。でも、レジェスは冷静だ」    フリアンの浮かない顔から、セレステに片想いしているというより、公爵家の息子として、プレッシャーを感じているのだとわかった。  一人息子で優秀ときたら、親の期待も人一倍……ううん、百倍くらいかもしれない。
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