8 私(五歳)の婚約者候補

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 ――でも、これでわかったわ。私とフリアンだけじゃなくて、レジェスとセレステの婚約話も出てるってことが。  王族と貴族の結婚なんて、自分たちの意思や意見は無視されて当たり前。  家と家、国と国の都合で決められる――それが当たり前なんだろうけど、いくらなんでも若すぎる。  だって、私はまだ五歳(中身は違うけど)。 「僕は真剣に考えて悩んでいるのに、レジェスは笑い飛ばしてた。どうして、あんなふうに笑えるのか、僕にはわからないよ」  フリアンは争いを好まず、周囲を気遣う。  それに、とても真面目で王国貴族は王家を守るべきという考えを持っている。  だから、王家の決定には逆らわないだろう。  自分の意思を押し通すレジェスとは正反対だ。 「レジェスが僕と友達になった理由もわからない。僕たちは違いすぎる……」  レジェスとフリアンは友達で、とても仲がいい。  だから、レジェスはフリアンに『レジェス』と呼ぶことを許し、対等に接している。 「フリアン様とレジェス様が同じだったら、お友達になれないと思う。違うからお友達なんじゃないかな……?」 「違うから友達か……。うん、そうだね。レジェスはすぐにケンカするし……」 「止められるのは、フリアン様だけだと思う! レジェス様は自分を褒めるだけの人より、ちゃんと叱ってくれる人が欲しいって思ってるから!」 「うん、そうか。そうかも。僕でちょうどいいのかもしれないね」  
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