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しっかりしてるけど、フリアンはまだ十二歳。
悩みも十二歳らしいものだった。
庭を何周かすると、フリアンとの乗馬は終わった。
「それじゃあ、また」
笑顔で手を振るフリアンに、私も笑顔で手を振って別れた。
仲良くしないで距離を置こうと思ったけど、それは難しいようだ。
きっと私が遠ざけようとしても、物語の強制力によってフリアンと離れられない。
――うーん……。ヒロインの婚約者だし、さすがに無関係でいられないわね。
「はぁ……(どうしたらいいの)」
「まあ! ルナリア様! ため息なんてついてどうしたんですか?」
「フリアン様との乗馬は楽しかったですよね?」
「とても素敵でしたよ!」
侍女たちがはしゃいでいるのを冷たい目で見てしまう五歳児――それが私。
――みんな、のんきなんだから。
「これから午後の勉強時間ですが、ルナリア様はお疲れのようですね」
「シモン先生!」
私の希望の光。
小説『二番目の姫』では登場しなかったイレギュラーなキャラ。
シモン先生が現れた。
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