8 私(五歳)の婚約者候補

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 しっかりしてるけど、フリアンはまだ十二歳。  悩みも十二歳らしいものだった。  庭を何周かすると、フリアンとの乗馬は終わった。 「それじゃあ、また」  笑顔で手を振るフリアンに、私も笑顔で手を振って別れた。  仲良くしないで距離を置こうと思ったけど、それは難しいようだ。  きっと私が遠ざけようとしても、物語の強制力によってフリアンと離れられない。  ――うーん……。ヒロインの婚約者だし、さすがに無関係でいられないわね。 「はぁ……(どうしたらいいの)」 「まあ! ルナリア様! ため息なんてついてどうしたんですか?」 「フリアン様との乗馬は楽しかったですよね?」 「とても素敵でしたよ!」  侍女たちがはしゃいでいるのを冷たい目で見てしまう五歳児――それが私。    ――みんな、のんきなんだから。   「これから午後の勉強時間ですが、ルナリア様はお疲れのようですね」 「シモン先生!」  私の希望の光。  小説『二番目の姫』では登場しなかったイレギュラーなキャラ。  シモン先生が現れた。
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