9 生き延びる方法

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 私と似た銀髪と青い目をしたシモン先生が、子犬のように駆け寄った私を見て、穏やかな笑みを浮かべた。 「乗馬は楽しかったですか?」 「はい。でも、早く勉強をしないと。今日もたくさん質問があって……」 「その前に少し休みましょう。あなたは五歳なのですから、体力が持ちませんよ」  そう言って、シモン先生は庭のテーブルを指さした。  庭に用意されたテーブルには、授業用の本が置かれている。  私がフリアンと乗馬をしている間に、侍女たちがお茶と授業の用意をしてくれたらしい。 「大丈夫です。すぐにでも講義を始めてください」 「無理は禁物ですよ」 「そんなことはっ……」  シモン先生はテーブルにあった薔薇の形をしたチョコレートを私の口に放り込んで黙らせる。  そして、私をひょいっと抱き上げて椅子に座らせた。 「では、簡単な講義をしましょうか」 「はい」  ――本当のお兄様みたい。   小説『二番目の姫』のストーリーに関係のないシモン先生と一緒に過ごす時間は、私がホッとできる貴重な時間だった。  それに私の知りたいことを教えてくれる。 「今日はルナリア様が、以前より興味を持たれていた光の巫女と闇の巫女について、講義をしましょうか」 「はい! お願いします!」
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