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「落ち着いてください。紅茶がこぼれてますよ。まあ、ルナリア様が興味を持たれるのもわかりますが、マナーも大事です」
「ごめんなさい……」
闇の力は私とって、生きるか死ぬかの話なのだ。
つい、前のめりになってしまった。
「オルテンシア王家から現れるという光の巫女と闇の巫女ですが、巫女は必ず出現するとは限りません」
歴史書を読んだから、私もそれは知っている。
王女だからといって、光の巫女と闇の巫女の力を発揮するとは限らないことも――巫女が二人揃うのは滅多にないのだ。
その滅多にないことが、私とセレステに起きる。
「その出現する条件は、いまだ解明されておらず謎のまま。謎だからこそ、信仰の対象となっているんですけどね」
シモン先生はどこか冷静で、他の人のように『光の巫女様~!』という妄信的な空気はなかった。
王宮のそばにある神殿には光の巫女の像がある。
光の巫女にお金をたっぷり寄進する人は多い。
――光を生み出すだけあって、光の巫女は金貨がお好きという謎の神殿からのアピールよ。
金貨オンリーの銅貨はちょっとね……なんていう空気を作り出している。
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