9 生き延びる方法

3/8
前へ
/314ページ
次へ
「落ち着いてください。紅茶がこぼれてますよ。まあ、ルナリア様が興味を持たれるのもわかりますが、マナーも大事です」 「ごめんなさい……」    闇の力は私とって、生きるか死ぬかの話なのだ。  つい、前のめりになってしまった。 「オルテンシア王家から現れるという光の巫女と闇の巫女ですが、巫女は必ず出現するとは限りません」  歴史書を読んだから、私もそれは知っている。  王女だからといって、光の巫女と闇の巫女の力を発揮するとは限らないことも――巫女が二人揃うのは滅多にないのだ。  その滅多にないことが、私とセレステに起きる。 「その出現する条件は、いまだ解明されておらず謎のまま。謎だからこそ、信仰の対象となっているんですけどね」  シモン先生はどこか冷静で、他の人のように『光の巫女様~!』という妄信的な空気はなかった。  王宮のそばにある神殿には光の巫女の像がある。  光の巫女にお金をたっぷり寄進する人は多い。  ――光を生み出すだけあって、光の巫女は金貨がお好きという謎の神殿からのアピールよ。  金貨オンリーの銅貨はちょっとね……なんていう空気を作り出している。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1118人が本棚に入れています
本棚に追加