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ご利益を信じ、神殿を訪れる人々が金貨を山積みにしてるのをよく見る。
気持ちはわかるけど、金貨だけってどうなのよ。
「だいたい光を生み出すからといって、国が繁栄するわけではありません。それで奇跡が起きたこともありませんし、暗い夜道を照らす程度でしょうか」
シモン先生はとっても現実的だった。
でも、光の巫女を懐中電灯のように表現するのはどうだろう。
案の定、話を聞いていた侍女たちはいい顔をしていなかった。
「もう、シモン様! 困りますよ! ルナリア様は王家の人間なんですから、ちゃんとした講義をしてください」
話を聞いていたティアが、シモン先生を注意した。
けれど、シモン先生が反省する様子はない。
「ランプに火をつけるのと大差ないでしょう? それをありがたがって、崇拝する気持ちを知りたいだけですよ」
「そんな不敬なことをおっしゃるから、図書館の館長に左遷されたのですよ!」
ティアはシモン先生を叱った。
「図書館に左遷されたおかげで、自由に本を読めますし、ルナリア様の家庭教師となれたのですから、幸運でしたよ」
シモン先生の挑発的な態度に、ティアはため息をついた。
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