9 生き延びる方法

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「セレステ様は宰相から直々に政治を学んでいらっしゃるそうですよ」  ――宰相から?  一瞬、レジェスの言葉が頭に浮かんだ。 『セレステ。ルナリアは賢いぞ。いずれ、このオルテンシア王国の女宰相になるかもな』  まさか、レジェスがそう言っていたから、政治を学びだしたのだろうか。  ――まさかね。  セレステは一番愛されている。  レジェスが気まぐれに私を褒めたくらいで、宰相に教えを乞うとは思えない。 「政治だけじゃありませんわ。セレステ様には音楽やダンスを教える専門の教師がいます」  私の方が先に家庭教師を望んでいたにもかかわらず、セレステが優先された。  ティアがシモン先生を連れてきたのは、セレステには優秀な教師たちがいるのに、私には一人もいなかったから、私のために家庭教師を探してきてくれたのだ。  シモン先生は鼻で笑った。 「宰相から政治を学ぶのは結構ですが、身につくとは思えませんね。セレステ様はご自分にだけ興味がある年相応の少女ですから」 「シモン様! 発言に気をつけてください。セレステ様を批判したら、次の左遷先は辺境の地になりますよ!」 「はいはい」  
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