9 生き延びる方法

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 ――シモン先生が私の先生に選ばれたことは幸運だったわ。私とセレステを差別せず、平等な目で見てくれる人は貴重だもの。 「シモン先生。講義をお願いします」 「では、続けましょうか。世界には女神が二人いると知ってますね」 「はい。夜の女神と光の女神です」  私にもわかりやすく説明するためか、挿し絵付きの本を広げた。 『一人は夜の女神、暗闇の世界を統治する女王』 『一人は光の女神、暗闇だけの世界に光を与えた女神』  シモン先生が歌うように文字を読む。 「夜は眠るもの。出歩く者は夜の女神に魅入られて、暗闇の世界へ連れ去られる。昼は我らに恵みを与えるもの。日差しは我らを照らし、明るい世界へ導く」  子供にもわかりやすく書いてある本で、他にも女神たちの神話だとか、女神の特性だとか、いろいろな本があった。 「わかりますか? 明るい世界へ導く。ただこの一言があるだけで、光の女神は我々にとって善きものだとされた」  そして、夜の女神は悪しきものとされた。  それはまるで、ルナリアみたいだと思った。 「だから、闇の巫女は嫌われるのですか?」
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