9 生き延びる方法

8/8
前へ
/314ページ
次へ
「巫女は力を封じた民族から恨まれ、命を狙われていますからね。アギラカリサ王宮の奥に閉じ込められているそうですよ」 「そうですか……」 「本当にルナリア様は好奇心旺盛ですね。とてもいいことです」  好奇心というより、生き延びるために必死なのだ。  巫女の存在を聞けてよかった。  もちろん、私がアギラカリサ王国へ行くのは簡単じゃない。   五歳というのもあるけど、ルナリアは死ぬまでオルテンシア王国から出ることがなかった。  レジェスの婚約者となったセレステは、アギラカリサ王宮へ招待されるけど、ルナリアは一度もない。  ――でも、いい目標ができたわ。  これから私自身がどう生きればいいかわかった気がする。  オルテンシア王国から、外に出しても恥ずかしくない私になって、堂々とアギラカリサ王宮へ乗り込む! 「シモン先生。アギラカリサ王国について教えてください」 「はい。私が知っていることであれば、なんでも教えましょう」  私は力を蓄える。  成長し、もっと自由に動けるようになる日まで――
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1125人が本棚に入れています
本棚に追加