10 いつまで二番目?

2/11
前へ
/314ページ
次へ
 前世の記憶が甦ってから七年が経ち、私は十二歳になった。  私が転生したのは小説『二番目の姫』の世界。  常に二番目にされてしまう運命にある第二王女ルナリア――それが私。 「ルナリア様。国王陛下がお呼びです」 「お父様が? なにかしら?」  シモン先生の授業の途中だったけれど、侍女が私を呼びにやって来た。  時計を見ると、ちょうどお茶の時間だった。  午後になると家族はお茶を飲みながら会話を楽しむ。  私の午後は、勉強の時間と決められていて、私は参加できない――というか、参加してほしくない。  お茶の時間に呼ばれる時は決まって、『第二王女』としての私が必要な時だけ。 「お客様がいらっしゃるので、家族全員で迎えたいとおっしゃってました」  ――やっぱり。  悲しいのを通り越して、呆れてしまう。  本当は行きたくないけど、私はまだ十二歳。  私が行きたくないとゴネて、拒否しようものなら、迷惑するのはティアや侍女たちだ。 『セレステと違って第二王女は』なんて言われるのは目に見えてる。  渋々、本を閉じ、シモン先生に謝罪する。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1130人が本棚に入れています
本棚に追加