10 いつまで二番目?

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「あら。ルナリア様は十二歳ですよ。この間もケーキを食べすぎて、苦い薬を飲む羽目になったんですから」 「ティア! 勉強すると甘い物が欲しくなるから、仕方ないのよ!」  抗議する私に『仕方がない子ですね』という顔で、ティアは笑っている。  乳母のティアは、私がいくつになっても母親代わりで、安心できる存在。  彼女は今も独身で、私に尽くしてくれている。 「青い瞳と白い肌。ルナリア様の銀髪が長くなったせいか、シモン様とルナリア様はまるで兄妹のように見えますわね」 「ははは。親子と言われなくてよかったですよ」    ティアの言葉にシモン先生が笑う。  ――本当。シモン先生が兄ならどんなによかったか。  ここは、私が私でいられるなごやかな場所。  いつも二番目にされて、私といても損しかないのに、私から離れずにいてくれる大切な人たち。  優しいみんなを見ていると、自然に笑みがこぼれた。 「ルナリア様。陛下がお待ちです。早く参りましょう」 「ええ。わかったわ」  国王陛下付きの侍女が、私の手を引いて急がせる。  遅いと叱られるのは、私だけじゃなく侍女も同じ。  早足で部屋から出て扉を閉めた。   お父様が待つ謁見の間へ向かう。  自分の身長より何倍もある扉の前で足を止め、扉を叩く。 「お父様。ルナリアです」 「入れ」 「失礼します」
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