10 いつまで二番目?

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 赤色の壁と椅子、天井には金の模様入り、照明はシャンデリアという豪奢な謁見の間。  ――目がチカチカするくらい派手だわ。  小国であるオルテンシア王国。  それほど裕福ではないけど、見栄は張りたい。  そんな気持ちが全面に出た部屋である。  ここは、毎日訪れるお客様とお父様が顔を合わせ、会話するための部屋だ。  ――見た目だけ、見栄を張っても仕方ないと思うんだけど……。  光の巫女が現れたら、お金がジャンジャン入ってくるらしい。  人々の信仰心が高まり、寄進する人が増えるからだ。  でも、ここ二百年は現れていないらしく、財政は厳しい。  国家財政を出るかどうかわからない光の巫女に頼るなんて、どうかと思うわ。  そんなわけで、緊縮財政中の王家はどうでもいい二番目の姫の予算を削って、家庭教師はシモン先生一人だけ。  着るものは全部、セレステのお下がりである。 「ルナリア! なにをしていたの!」  私の姿をみた途端、お母様の叱責の声が響いた。 「わざとモタモタしてたのでしょ!」 「いいえ。午後の勉強中でしたので、シモン先生に退席のご挨拶をしていました」
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