10 いつまで二番目?

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「嫌ねぇ、言い訳だけ上手になって。なにを学んでいるのかしら」 「政治と地理、経済と言語、それから……」 「言わなくてもけっこうよ!」    知りたいと言ったのは、お母様のほうなのに怒鳴られるなんて理不尽だ。  親子とは思えない殺伐とした会話だけど、これはまだマシなほうで、小説『二番目の姫』でのルナリアは、両親から見放され、会話さえなかった。  私はまだうまくやれていると思う(たぶん)。  そして、お母様が一番大切にしているのが―― 「あら、ルナリアが来たの? お母様の叱る声ですぐにわかってしまったわ」  ――王女セレステ、一番目の姫である。 「ルナリアはお母様にいつも叱られてばかりね。今度はなにをしたの?」 「ここへ来るのが遅いと叱られただけですわ」 「そうね。遅かったかもしれないわ」  私を一度もセレステはかばってくれたことがない。  いつも、お母様の味方である。  セレステは十三歳で美少女に成長した。  金髪に青い瞳、薔薇色の頬と唇、白のドレスにグリーンのリボンがいくつも飾られ、まるで春の妖精のようだ。 「勉強時間でしたし……」
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