1 『二番目の姫』

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 今思えば、両親は常にセレステを優先させて、私の話を聞いてくれなかった。  なぜなら、私は二番目の姫。  ――まずは地道に環境づくりよね。わがままな王女というイメージはよくないわ。  こうなると、演技力が必要になってくる。  私の演技……五歳児を演じるのは、ちょっと恥ずかしいけど、生きるためである。  覚悟を決め、『ルナリア五歳』を演じることにした。  大きな目をうるうるさせ、乳母のエプロンを小さな手でぎゅっとつかむ。 「わがまま言ってごめんなさい……。ルナリア、もうわがまま言わないから、ゆるして」 「えっ!? わがまま? そんなことございません!」  乳母は慌てて否定し、考え込む。 「そうですね……。ルナリア様のお世話が、私の役目です。私でわからないことがあれば、陛下に進言し、家庭教師を雇いましょう」  乳母は私の教育係も兼ねてるから、乳母の知識量を上回れば、家庭教師をゲットできるようだ。  ――時は金なり!  こっちは命がかかってる。  せっかく王宮の図書館にいるのだから、片っ端から読んでいくことにした。
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