10 いつまで二番目?

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「痩せすぎでみっともないルナリアより、健康的なセレステのほうが可愛いに決まっているでしょう」  お母様が私をにらみつけた。  「セレステ。気にすることなくてよ。ルナリアはお下がりで悔しいから、あんなことを言っているだけですからね!」  私が身につけているドレスとアクセサリー、靴に至るまで全部セレステのおさがりだった。  私を絶対に一番にさせない物語の強制力『二番目』。  その力は、いつも私を二番目にする。  ――お下がりで悔しいなんて思わないけど、おかげでわかったことがあるわ。   私は気づいた。  物語の強制力が働かない部分が存在することに。  それは、私が自分自身の能力を伸ばすことと、人との出会いである。  お下がりを着せられ、お母様から疎まれても、私が手に入れた知識と学力をセレステが上回ることはなかった。 「お下がりを工夫して着るのも楽しいものですわ」  涼しい顔でお礼を言って、お茶を飲む。  そもそも、セレステが着るために仕立てたドレスだから豪華だ。  むしろ、派手すぎて地味なドレスを探しているくらいなのだ。
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