10 いつまで二番目?

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 それに、お下がりのドレスは、ティアと侍女たちがドレスをリメイクしている。  彼女たちの針仕事の上達は凄まじく、最近では仕立て屋を経営できるのではと思うくらいの腕前だ。    ――ティアたちは本当に私を大切にしてくれてる。不満なんてないわ。  だから、自分が二番目にされてしまっても、妬んだり怒ったりしない。  両親から愛してもらえないのは悲しいけれど、私の周りにいる人たちは優しかった。  私は両親からの説教が始まると困るので、余計なことは一切話さず、来客がやってくるのを静かに待つ。  廊下から複数の足音が聞こえ、いつもは落ち着いているセレステが席を立った。 「足音が聞こえるわ! きっとレジェス様よ!」  セレステは年相応の十三歳らしく、新調した薔薇の花のようなドレスをひるがえす。 「お母様、私におかしなところはない?」 「ええ。セレステ。いつもどおり可愛いわ」    白い扉の向こう側から聞こえていた足音が止む。  扉が開かれた瞬間、セレステが満面の笑みを浮かべて歓迎する。 「レジェス様!」  現れたのは、長い黒髪を結び、宝石のような紫色の瞳をしたレジェスだった。
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