11 騙された国王

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 「お前たちは廊下で待っていろ」  レジェスの命令に複数の従者たちが一礼し、廊下に控える。  そして、レジェスは扉を閉めた。  お父様が席を立ち、二人は握手をする。  もうレジェスは一人前で、外交も当たり前にこなす。  レジェスの紫色の瞳に見られただけで、お父様は萎縮してしまうくらいだ。 「レジェス殿下。ようこそ。滞在を歓迎します!」  お父様は大国アギラカリサの王子を迎え、張り切っていた。 「いや、滞在するつもりで来たわけではない。用事あって来た」  なんだか嫌な予感がする。  セレステが言うようにレジェスは忙しい。  なぜなら、アギラカリサ王国では王位継承争いが激化し、殺し合いにまで発展しているという噂が、オルテンシア王国にまで届いている。  自分の領地を離れている場合ではないと思う。  けれど、そんなレジェスが、わざわざやってきたということは、オルテンシア王国に関する面倒なことが起きたと考えるべきだ。  もしくは、これから起きるから、気をつけろと警告にきたか……  ――どちらにせよ、オルテンシア王国にとってよくないことよね。
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