11 騙された国王

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 レジェスはなにを考えているのだろうか。  お母様はレジェスの冗談だと思ったらしく、笑いをこらえきれず吹き出した。 「まあ、レジェス様ったら! ご冗談がお上手ですこと! ルナリアはセレステに比べ、平凡な娘ですわ」 「セレステと間違えているのでは?」  お父様は笑えない冗談だと思ったらしく、頬をひきつらせていた。  けれど、レジェスはお母様たちのように笑っていなかった。  冗談ではなく、本気で言ったのだ。 「そうか。では、ルナリアの予定は空いてるか?」 「え? 私の予定ですか?」  なぜか、私の予定を尋ねてきた。  セレステがくすりと笑った。 「レジェス様。社交的な私と違って、ルナリアはいつも暇ですわ。毎日、本ばかり読んで友達もいませんの」  人気者のセレステは、同じ年頃の貴族令嬢たちとお茶会や観劇に出かけて忙しい。  私はというと、出歩く時間が惜しく、ひたすら語学や政治、農業などの勉強の時間にあてている。  なにも知らないお母様は、セレステの言葉に同意する。
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