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第二十六話 白沢家の秘密
数日経ち。約束の日。
美濃里さんが家にやってきた。大きな袋を抱えて。
「もう事前に買っといたから」
と中から出してきたのはピザとナゲットやポテト。どうやらピザ屋で注文して取りに行ったそうだ。
「特にアレルギーとかなかったよね。えびとカニのハーフピザにしたから」
甲殻類アレルギーだったら完全にアウトだが事前に何も聞いてこずに持ってくるのはやはり自分的に受け付けない人なんだ、本当はと思いながらも子供たちは預けてきたらしいし二人きりで美濃里さんとここにいるのは不思議である。
ちょっと思っていたのは何かのきっかけで美濃里さんに自分が殺されてしまうのでは、とか思ってしまった。その可能性も救いきれないのはやはり前回の謙太自死ルートがあったからだろう。
とりあえず鈍器に値するものでしまえるものはしまっておき、刃物なども……あとベランダの鍵は二重ロックにした。二回連続高所からの死はしんどい。
おかげで高所が平気じゃないのよね。心臓がバクバクする。
普通にピザやポテトを並べるが、今から話すことはいったい何のことなのか。これまた緊張する。
「……とりあえず今日は酒抜きで。まず乾杯」
とノンアルコールビールで乾杯した。ここまでは普通である。
えびピザは美味しいと思うんだが味が無いような気分だ。
「もっとガブリっていっちゃいなよ」
今回は朝活に加えてヘルシーな料理を出していたからこんなにこってりなものも久しぶりである。ピザも結婚してから家で注文したことなんてない。
「でさ、謙太……の事だけどさ」
ピザをほおばりながらフランクに話す話題なのだろうか。
「本当に申し訳ない……謙太、なにも梨花ちゃんに言わずに結婚しただなんて。姉として本当になんと謝れば」
「美濃里さん……」
「私不妊治療続けてしんどい思いしてたからもう他の人にはして欲しくないって思っていた。まさか梨花ちゃん……ごめんなさい」
「……」
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