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第十一話 そこつきたもの
私はこの数日どう過ごしたのか……。
あれは夢じゃなかった。
謙太が死んでしまったのは。
予知夢だったのか……。
私は事前に謙太が死ぬ、嘘で夢だと思っていたけどもそれをわかっていたからショックで倒れることはなかった。
それに夢のときは私の不摂生で倒れたわけだから……朝活で謙太と健康的になっていたおかげだったかもしれない。
しかしそれでもショックはショックで。
ショックだったのは私だけではない。もちろんのことだが。
謙太の家族……彼の友人、職場の人たちや関係のある人々。
私の職場の人、友達たちも。
両親もだが特に謙太を可愛がっていた美濃里さん……大きく泣き叫んでいた。
次姉の清乃さんも久しぶりに見たが痩せ細っていて謙太の死を聞いてさらに青ざめ泣き腫らしていた。
しかし鏡を見ている私も真っ青だ。……絶望しかなかった。
彼の死以上にショックなことがあった。
……夫婦の共同貯金がほぼ底をついていた。葬式代をどこから出すか、自分から?
最初はまだ事故とも自殺ともわからなかったし事件性もなく自殺の線が強かったと言われて義父がひっそりと家族葬でと考えたのだが彼に関わるすべての人に会わせることが不可能だと私から家族葬じゃない方が良いと伝えると家族葬よりもかなり値段が跳ね上がった。
私の通帳から出すものだと思っていたが義母から私には残りの人生があるからと白沢家から出すと言ったので私は慌てて謙太の……と思ったら謙太の預金がそこそこしかなく、慌てて光熱費や家賃を互いの給与から出して貯めていた共同通帳の金もそこを尽きていた。
履歴を見せてもらうと一年前から急激に支出が多くなり毎月何かしら補填されては支出されるの繰り返し。
そしてもう今月の光熱費払ったら貯金は無くなる。私の給与が振り込まれるまで……。
どういうこと……?
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