第八話 謎の女性

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 私は近くにいる同期に聞いてみた。 「あの人はTOKIプランニングの営業の鷲見さんですよ」  と他の同期と顔を合わせて嫌な顔をする。 「男性社員にこび売っている感じ丸出し。前はどっかのデパートのお菓子持ってきて私たち女性社員の外堀を埋めてからぐいぐい来てるから気を付けた方がいいわよ」  と言いながらそのお菓子らしきものを彼女たちは食べている。いや、もう外堀埋められてるじゃんとか思いながらも私は自分の部署に戻った。  すると山田課長と大城さん、そして数人が取り囲んで談笑している。こんな光景見たことがない。大城さん以外の派遣の子もいるし確か断った社員の子たちもいる。 「白沢さん。彼女たちも分散して入ってくれるそうだ」 「そうなんですか」  一人の女子社員がこっそり耳打ちしてくれた。 「なんかここ最近課長と大城さんがドラマの話盛り上がってて自然と……なんかさ、入りずらかったんですよ。課長の顔大魔神みたいだし」  大魔神、と聞いて笑ってしまった。いやドラマの話きっかけでこうして集まることになったってかなり単純、ていうか最初から集まれたんじゃない。  私はちょっと拍子抜けだったが大城さん登用したことでこんなにもすぐ人が集まるだなんて。なんか不思議だわ。って私、人望無い? 大魔神フェイス課長もだけど私がいろいろやっても集まらなかったのに。  まぁしょうがないか。ここまでやってこれたのも……ね。前の会社に比べればと思うと。
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