第十四話 ショートカット

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 そして一時間後。フロアに集まった女子社員たちを見て山田課長はびっくりしていた。 「どうやって集めたんだ?」  前の段階で集まった人たちに片っ端から声をかけた。大城さんは即オッケー。他の数人の派遣の子はあとで私が派遣会社に連絡するからとちょいと仕事が増えたけど半ば強制に集め、育児中の社員たちにも  まだまだ解明されない謙太の死。それだけでも確認したい。  繰り返しを起こしているのであればまた何かで私が死ねばやり直せる……んだよね?  一度謙太はなぜ死んだかを確認して……いや、そこを止めなくては。誰かに押されたのか、人の波に飲み込まれて押されたか、思い詰めて死んだのか。  誰かに押されたって彼は誰かに恨まれている? その相手って誰? 優しい人、でも裏で鷲見と密会しているしお金を使っていたから本当の顔は……。  でも本当に謙太は良い人なんだから。  良い人だから鷲見さんにも良い顔するんだから。で、そこからホイホイ彼女の策に溺れてしまうのよ。 「どうしました?」 「えっ……あ、うん……」  大城さんの胸ポケットにはあのドラマのキャラクターのキーホルダー。  そうだ。少し先に課長と共通の話題が見つかってそっから人が集まって……かなりのショートカットになったわ。 「大城さん、そのマスコット」  わたしはわざと大きな声を出す。集まった社員の中にも見ているのはいるのよね。課長も見ていた。 「はい、ドラマの」 「お、それ。娘と一緒に見とるわ」  そうそう……山田課長食いついたー。他の社員も群がる。 「D-ay2の守尾くんが出てるから?」 「よーわかったな……」  ふとわたしは大城さんの顔を見ると少し頬が赤くなっていた。 「目の付け所がいいですね、山田課長」 「いやいや、娘がなそのでーず? のモリモリが好きだって。見させられて」 「人気なんですよ、脇役だけど」 「どれもこれも似たような顔だな」  ここでも話のラリーが続く。  なんかこの二人、接点が分かってなかっただけで馬が合うんじゃ?  前の時は自分のことで精一杯で二人のこと特に何も追ってはいなかったけど気になる。  それよりも謙太もわたしも死なないルートを探さなければ!
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