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その日の夜、先に謙太は帰って味噌汁を作っていた。
「あ、おかえり」
彼は私の会社に鷲見さんが来たことは知っているのだろうか。
「あのさ、謙太……」
「なに?」
私、ここで躊躇したらダメよね。ここで聞いて少しでも事態を悪化させることを招いてはいけない。
「なんか隠していることない?」
これはいきなりすぎたかもしれないけど。
「ん? 隠していること?」
少し彼の目は泳いだが味噌汁の鍋の方に目線がいった。
「……もう直ぐ出来上がるから。ご飯は少し後でもいい?」
「いいけど、謙太はお腹空いていないの?」
「お腹いっぱいになってから話すと眠くなるだろ」
……何を隠しているというの。そしてこんなにも早く話してくれるとは思わなかったから私はたじろいでしまった。
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