第十七話 女の勘

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 もう何も聞きたくない。  全てが言い訳になる、そうでしょ?  私は机を叩く。 「……もう何も信じない。隠し事してたこと自体最低、他に女作って子どもまで作って……最低、最低過ぎる!」 「え、ちょっとまず落ち着いて。それに子供って???」  しまった、また先のことなのについ口が……。でもそうなんでしょう、不倫してそれを隠して……! 「もうお願い、私の前から消えて!」 「梨花ちゃん! 落ち着いて。まず話を聞いて欲しい。鷲見さんは、鷲見さんは……」 「不倫相手でしょ!」 「ちがう!」 「言い訳しないでちょうだい!!!!」  だめだ、もう止まらない。言い訳しても無駄よ……。 「梨花ちゃん!」  謙太にガシッと肩を掴まれた。  私はハッと意識を取り戻した。 「……深呼吸するんだ、梨花ちゃん。君のいけないくせが出てしまっている。前もそうだったろ」 「……謙太さん……」  謙太に肩をガッと掴まれたのは初めてではない。  私はボロボロ涙が流れた。声からうあああっと声が出て泣き崩れ力が抜けていく。  そして謙太は私を抱きしめてくれた。  頭も撫でてくれた。……息が上がる。心拍数もすごい。 「呼吸整えて、落ち着いて……少し落ち着いてから話を話そう。僕はもう嘘は言わない。黙ってた僕がいけないんだ。落ち着くまで……僕の腕の中でいいのなら泣いてくれ」  優しい声、優しい抱擁、それが私を救ってくれたんだ……あの時も。
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