第十八話 一つ目の隠し事

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第十八話 一つ目の隠し事

 彼にあれこれ晒しだし私はもう彼のこと信頼できる、依存的になってしまった時に自暴自棄になって暴れてしまったことがあったっけ。  でもそれは私の子供の頃の癖でそれを今まで誰も……学校も、そして親でさえも放置した。  だから溜めに溜め込んで爆発して人間関係は破綻していく一方だった。    私の扱いはみんな雑だった。  でも謙太だけは違った。  なのにそれなのに。隠し事。  浮気もして、お金も勝手に……ってまだ話しっかり聞いていなかった。 「落ち着いたかな?」  まだざわざわするけど、大丈夫。  彼の腕の中、落ち着く。 「さっきみたいに対面して座って話した方がいいかと思ったけど」 「このままでいい」  私は謙太に身体を委ねた。 「……鷲見さんとは身体の関係はもちろん、やましいことはしていない。キスも手を繋ぐこともハグすることも」  ……それをしてたらもうベランダから突き落とす。 「彼女が僕の会社に来て営業しに来ていたんだがほとんどの人が相手にしなくてね」 「……」  謙太の会社の環境はあまり深く聞いていなかった。きっと彼の優しさで歳の上の人が多くてもやりこなせそう、想像だけど。 「せっかくわざわざ来てくれたのに。だから僕はお話だけでもと」 「お話だけ」 「だったけどすごく熱意のある子で。僕から上司に彼女の企画を通して仕事を共にすることになった」 「ふぅん」 「……早く真相を言えって感じだよね」  私は自分の話はたくさんするくせに謙太がたまにする長い話はフゥン、で済ませてしまう。酷いよね、なのにいつも自分のことよりも私のことを聞いてくれる。 「それから何回か仕事をしていくうちにご飯も食べることがあってさ。最初は何人かといってたけど……ある日上司がドタキャンして鷲見さんと二人きりになってしまって」 「……」 「本当なんだ、急に。その、二人きりなら相談したいことがあってと」  つい、ねぇ。 「……その話が彼女、彼氏が既婚者だったらしくって。まぁ僕もだけど」  ……。
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