第三話 最期

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「あ、なんか豆が違う」  ようやく久しぶりの朝のコーヒータイムを迎えた朝。 「わかった? さすがだね、謙太」 「へへへっ」  その笑い顔、いい。本当に。 「僕そろそろ有休とらないと人事部からちくちく言われる……もう言われてるんだけど」 「うちも上司から一時的に他から応援来てもらうから順番に休めって言われてさ」 「いつにしよう」 「そうねぇ」 「おっと。メール」 「ん?」  意外な形でその幸せな時間がとぎれた。まだ電車の時間まで余裕あるのに。何かあったのかしら。謙太。 「得意先の人が時間間違えて早く来ちゃったらしくってさ」 「それって来ちゃった人のミスじゃん、待たせればいいじゃん」 「そうだけどさ、その人たまにそういうことあってさ。でも本当に大きな取引先だから」 「それはご苦労様です。私はちょっと後に行くよ」 「分かった」  謙太は慌ててカップを台所の流しに置いてスーツを羽織って家を出た。  しょうがない。こういうこともあるさ。それに子供いたらこんなにのんびりできないし、邪魔されるだろうし。  この今の時間を大事にしなきゃね。  って私もカップを持っていこうとしたとき、テレビでは半年以上前にやっていたあのタイムループするドラマの映像が流れた。まだやってたの?  私は最近ドラマを見ていなかったからよくわからないのだがじっと見ているとテレビ大賞受賞とのこと。やっぱり人気だったからかぁと結局はしっかり見ていなかったけども評判はSNSでもすごかったのだ。
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