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はじめに
何もかもうまくいかない。
積み重ねては端から崩れ、また積んでは大きく崩れ。
何かをすれば裏目、何もしなけりゃ悪化は進む。
事業の失敗である。
暑い夏。三連休中日、高原に位置するこの場所にはひっきりなしに車が往来している。
しかし、僕の店には誰も来ない。
昨今の流行りで、車中泊がたくさんいる。
すぐ近くに泊まっている。
それを当て込んで、6時から朝食を準備している。
誰も来ない。
予約や問い合わせの電話も鳴らない。
頑張れば頑張る程、損害が増える。
それでも絞りに絞って2万円で仕入れた食材、オオズワイガニ、コシナガマグロ、プレノワール。
昨日の売り上げは、たったの1000円。
悪循環の、真っ只中。
だから、眠れない。
眠らなきゃ、と、寝酒を飲む。
そのほとんどが、車や店のキッチンで。
粗悪な睡眠。
だから、悪夢ばかり見る。
本稿は、忘れる前に書き記す悪夢と、その分析である。
夢の中でまんまと死ねたなら。
しかし、まだ目は醒めるだろう。
現実の、そのど真ん中に。
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